労災休職者の解雇有効(東京高裁差し戻し審)

image11みなさん こんにちは! 鈴木正章行政書士事務所の鈴木正章です。

今回も解雇の問題を取り上げます。

新聞報道によると、業務災害による疾病により労災保険の休業補償給付を受け、3年以上経過
しても直らない場合、1200日分の打ち切り補償を払えば解雇できるかが争われた裁判で、東京
高裁は、解雇は有効との判決を言い渡した。

元専修大学の職員の男性は、2003年パソコンの長時間使用などで、頚肩腕症候群と診断され
2007年労災認定を受けた。その後2011年に大学側が約1600万円の打ち切り補償を支払い
当該男性を解雇した。原告側は、部分就労による復職を拒んだ点が解雇権乱用に当たるとして
訴えていたが、認められなかった。「休職から5年9ケ月復職できない状態が続き、解雇は
社会通念上相当である。」との判決であった。

労働基準法第19条は、「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために
休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が休業する期間及びその後30日間は解雇
してはならない。但し、使用者が打ち切り補償を支払う場合、又は天災事変その他やむを得ない
事由のために事業の継続が不可能となった場合においてはこの限りではない。」と規定しています。

又、同法第81条では、「療養補償を受ける労働者が、療養開始後3年を経過しても、負傷又は
疾病が直らない場合においては、使用者は平均賃金の1200日分の打ち切り補償を行い、その後
は、この法律による補償を行わなくてもよい。」とも規定しています。

一方労働契約法第16条では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当である
と認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする。」としており、
解雇の合理性と、社会通念上の相当性を問題としています。

今後も業務災害で休業中の者に対して今回のような判決が続くと予想されます。
なお、関連する記事は以下の通り。

労災受給者の解雇可能 東京高裁

弊事務所のHPは以下の通り

http://suzukimasaaki-gyouseishoshi-jimusho.com/index.html