経営者の高齢化により、事業承継の課題が本格化しつつあります。事業を引き継ぐ場合、通常は、赤字の部門も、黒字の部門も引き継ぐのが通常ですが、なかには、黒字の部門のみ、子のつくった会社に譲渡するかたちで引き継ぎたいニーズがあるようです。
会社分割の手続により、黒字部分のみを分離させることは可能です。ただ、特に2点注意していただきたい点があります。
①債権者への対応
通常、会社分割をする場合は、債権者との事前の調整により、どのように残債を返済していくか、という計画を立てます。その中で、一部債務については、新会社に連帯させないなど、実質的な債務免除の取り決めもなされることもあります。
たまに、借金逃れの手段として、債権者に無断でこのような手法を用いる人がいますが、「詐害行為」といって、裁判で分割がなかったことにされる可能性があります。専門家と協議して、安全な手法をとることをおすすめします。
②税金・社会保険料の未納
税金や社会保険料の未納があると、旧会社の延滞分について、新会社で連帯して支払わなければならない「場合があり」ます。分割契約の内容や、分割時の税務申告処理によって、連帯納付義務が生じたり生じなかったりしますので、お近くの専門家にご相談ください。
細かくいうと、事業譲渡の場合は~、分社型の場合は~とか、分割型の場合は~など、いろいろ論点があります。「必ず」専門家に相談のうえ、実行なさってください。